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損傷を有する構造物への適用

これまで,構造解析は新設構造物に適用することを主目的として開発されてきました.その場合,一般には,初期損傷は無視できる程度以下に抑えられていることが前提条件として存在しています.

しかしながら,兵庫県南部地震等の大地震による震災経験や,高度経済成長期から数十年を経て社会基盤施設が一気に更新時期を迎えることになる状況から,既存構造物の診断や補修・補強検討にも構造解析を適用する要望が高まって参りました.既存構造物は供用期間中の環境作用や外力の影響により,ひび割れ・剥落・発錆・変形等が部分的に発生していることがあります.従って,既存構造物の応答挙動を精度良く評価するためには,これらひび割れや変形等の損傷状況を考慮しておかなければなりません.

このような損傷を有する構造物の評価に際して,本解析手法の基幹である載荷履歴を忠実に考慮し,かつ最大4方向までのひび割れを考慮可能な平面モデルは,非常に有効なツールとなり得る可能性を秘めていると考えられます.実際,研究レベルでは,初期応力のみならず先行クラックを部位ごとに任意の角度で有するRC梁のせん断応答挙動を精度良く追跡できることが確認されています1)〜3)

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コムスエンジニアリングでは,この解析手法を展開して,既存構造物の診断や補修・補強の検討に活用することを提案致します.詳細なモデルに基づく数値解析の実施により,エンジニアリングジャッジを行う上で,極めて有効な情報を提供できるものと考えます.(もちろん,既存の部材と新たに追加する部材・材料は,応力状態等を考慮してモデル化,入力条件と致します.)

例えば右図は,供用開始から約100年程度経過したレンガ高架橋の不等沈下に対する対策を検討した際に,数値解析結果も1つの判断材料にした例4)です.

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この他,部分的に発生する鉄筋腐食とその膨張に伴うひび割れや,定着不良(劣化含む)を有する梁部材の耐荷性能評価に対しても,本手法は成果を挙げております5)〜7)など.例えば,せん断補強鉄筋の曲げ定着部がアルカリ骨材反応による膨張によって破断する事例が報告されていますが,COM3 およびWCOMD は定着不良となった実構造物の残存保有耐力と性能の評価にいち早く適用され,NHK等の報道(2003年4月)においても紹介されました.

 

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参考文献

1)

Pimanmas, A. and Maekawa, K.:Numerical simulation of failure path formulation and crack sequence in RC with full and local shear anisotropy,Proc. of JSCE,V-52, No.683, pp.157-171, 2001.8

2)

Pimanmas, A. and Maekawa, K.:Control of crack localization and formation of failure path in RC members containing artificial crack device,Proc. of JSCE,V-52, No.683, pp.173-186, 2001.8

3)

Pimanmas, A. and Maekawa, K.:Shear failure of RC members subjected to pre-cracks and combined axial tension and shear,Proc. of JSCE,V-53, No.690, pp.159-174, 2001.11

4)

菅野貴浩,木野淳一,小林敬一,荻原郁男,古谷時春:東京レンガ高架橋の不等沈下の影響および耐震性能に関する数値解析について,SED,No.17,pp.96-109,JR東日本,2001.12

5)

Kukrit TOONGOENTHONG,前川宏一:Shear Capacity of Damaged RC Beam with Partial Longitudinal Cracks in Space,コンクリート工学年次論文集,Vol.26,コンクリート工学協会,2004.7

6)

Kukrit TOONGOENTHONG and Koichi MAEKAWA:Unified FEM Computaional Approach for Material Expansion inside RC due to Reinforcement Corrosion and ASR,CONSEC '04,2004.6

7)

前川宏一,中村光,佐藤靖彦,Kukrit TOONGOENTHONG:せん断補強筋の定着不良がRCはりのせん断耐力に及ぼす影響,コンクリート工学年次論文集,Vol.26,コンクリート工学協会,2004.7